後世に伝えたい
この風景、あの風情
星 康一
ホシ コウイチ
『浄土宗 龍原寺』二十三代住職
大阪出身。大分大学経済学部を卒業後、東京の大手百貨店で2年間勤務。
それから京都の寺で修行し、25歳で僧侶として龍原寺に帰ってきた。2006年に二十三代住職となる。
- 修
- 視
- 個
浄土宗 龍原寺
- 住所:臼杵市大字福良134-1
- 電話:0972-62-2717
誰もが思い浮かべる臼杵の風景のひとつに『龍原寺』の三重塔がある。店や住宅が並んだ道の向こうに三重塔が見えてくる風景は、今と昔が調和しながら共存しているこの町の姿を象徴するかのようだ。
星康一さんは『龍原寺』の二十三代住職。出身は大阪だがこの寺は母の実家で、先代住職は祖父にあたる。「子どもの頃から馴染みのある寺ですが、自分が住職となると責任の重さを感じます」。星さんは仏事などで多くの家を訪れ、自分ができる精いっぱいのお参りをさせてもらったという。「住職として当たり前ですけどね」と笑うが、その姿が評判を呼び、10数年で檀家が100軒も増えた。人口減少や寺離れが進む地方都市で檀家をこれほど増やすのは、当たり前ではできないことなのだ。
その『龍原寺』に危機が訪れている。早期の大改修が必要なほど、三重塔が損傷しているのだ。「50年前にも改修しているのですが、近年では痛みが目立つようになってきました。募財など皆様からのご支援をいただきながら補修や大改修をすることで、後世にも三重塔を残していければと思います」と星さん。宗教や宗派を超えて、この塔に親しみを覚える人は多い。見慣れた町のいつもの風景。その後ろには、この景色が続いてゆくために奔走する住職の姿があるのだ。